壁面緑化で美しく住みやすい町に

フランスの児童文学者、モーリス・ドリュオンの書いた物語に「みどりのゆび」という作品があります。園芸が好きな人は知っている方も思うが、見事に植物を育て花を咲かせ、実をならす人のことを、緑の指を持っているといいます。物語「みどりのゆび」の主人公はチトという名前の、小さな男の子です。チトは本当に不思議な指を持っていて、手の親指を建物の壁や、柵に押し当てると、そこにあった種が芽を出して、一晩のうちに大きく育ち建物を覆ってしまう。建物じゅうが美しい花々に囲まれ、良い香りに包まれるのです。病院や動物園など、どんな建物も植物に覆われて美しくなり、そこに住む人間や動物は、前よりずっと幸せに暮らせるようになります。チトはこの力で戦争もやめさせてしまいます。そんな「みどりのゆび」を持っている人は現実にはいませんが、緑に覆われた美しい建物は増えつつあります。


それをなしえているのが壁面緑化です。壁面緑化とは建物の外壁を、植物で覆うことです。植物で覆うことで、壁面に直射日光が当たらなくなるので、壁面が熱くならない。室内に差し込む陽射しもさえぎられる。また、植物の葉の表面から水分が蒸発する事で、気温が下がるという効果があります。心に与える影響も有効です。風に揺れる緑の葉を見ているだけで、涼しく感じ、ストレスもおさえられます。近年、地球温暖化の影響もあり、都市部のヒートアイランド現象が、深刻化しています。また、震災後の電力不足を解消するため、節電が必要になりました。それらの問題を解決するため、壁面緑化は有効な手段です。夏に学校や、各家庭で、朝顔やゴーヤを育て、窓や壁を覆った緑のカーテンも、壁面緑化の一つです。緑のカーテンのおかげで、冷房を入れる時間が減った等、有効性を体感した人が大勢いました。壁面緑化には緑のカーテンの様に手軽に出来るものの他に、植栽基盤造成型というものがあります。壁面に緑化用のコンテナやパネルを取りつけるもので、企業や公共施設のビルに、広範囲に取りつけられているものもあります。2011年には京都で、1120平方メートルという大きな花の壁が建設されました。


壁面緑化の必要性が認識され、需要が高まると共に技術革新がすすんでいます。工事もメンテナンスもより容易になってきました。また各自治体で、植物の購入や緑化工事のための補助金が出るところもあります。物語「みどりのゆび」に出てくるような美しい町に住めるのも、もう間近かなのかもしれません。

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